人口が14億人をこえ、人口ボーナスが今後ピークを迎えると推定されているインド。世界の脱中国の受け皿としても注目されており、安定acした成長が期待されます。
本記事では、投資先としてのインドの魅力とおすすめのインド関連銘柄、インド株に投資できる投資信託・国内外ETFを解説します。
投資先としてのインドに興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
人口大国!投資先としてのインドの魅力とは?
インドの投資先としての魅力は、次の3つです。
ワールド・ポピュレーション・レビューによると、2023年2月時点のインドの人口は14億2000万人以上。今後は中国を抜いて世界最多の人口大国になると予想されており、若い世代が多いことから人口ボーナスが期待できます。
またインドはモディ政権のもと、2014年より「メイク・イン・インディア」をはじめとするさまざまな構造改革を実施しています。インフラ投資によってビジネス環境の改善も進んでおり、海外からの投資の誘致にも積極的です。
これらの経済対策と各国の「脱中国」の動きが功を奏し、IMFの世界経済見通し2023年1月(改訂)では、2022年のインドの成長率は6.8%と先進国や主要新興国のなかでトップです。2023年、2024年も6%以上の高い成長が見込まれています。
インドは、力強い内需の成長に支えられた魅力的な市場といえるでしょう。
おすすめのインド関連株は?インドで活躍する日本企業たち
「インド関連株」とは、インドへ進出している、または輸出入を行っている日本企業のこと。インド関連株で調べるとさまざまな銘柄があがってきますが、ここではおすすめの3銘柄を紹介します。
※情報は2023年2月時点のものです
スズキ(7269)
- 市場:東証プライム(輸送用機器)
- 配当利回り:2.23%(3月・9月配当)
- PER/PBR:11.97倍/1.13倍
インドの自動車販売シェアの50%近くを独占しているスズキは、インド関連株の代表といえます。
インドの1世帯あたりの自動車保有率はまだ8.5%ほどで、市場の余白は広大です。スズキはEV事業への投資も進めており、2023年1月にはコンセプトモデルをインドで行われた「オートエキスポ2023」で発表しています。
スズキは早いうちからインドの自動車市場に着目し、徹底したローカライズでインド進出を成功させました。近年の原料高も海外の値上げで吸収しており、業績は好調。インドでのさらなる伸びが期待できます。
富士フイルムHLDG(4901)
- 市場:東証プライム(化学)
- 配当利回り:1.74%(3月・9月配当)
- PER/PBR:13.81倍/1.01倍
インドの医療・健康分野に進出しているのが富士フイルムです。2021年に1拠点、2022年の2拠点で、がん検診をメインとした検診センターを開設しました。
人口が増え、内需が成長すれば健康ニーズも増大します。富士フイルムは、画像診断技術などをがんや生活習慣病の早期発見に活かしたいとのこと。
2023年3月期1Qの決算報告では、インド、中東アフリカ、東南アジアなどで100拠点の開設を目指すと記載されています。
ヤクルト(2267)
- 市場:東証プライム(食料品)
- 配当利回り:1.74%(3月・9月配当)
- PER/PBR:13.81倍/1.01倍
ヤクルトは2008年からフランスのダノンと共同でインドに進出しています。世界中で事業を展開しているため、インドに特別に注力……というわけではありませんが、インドの人口増加の恩恵をダイレクトに受ける銘柄といえるでしょう。
なおインドでもヤクルトレディは顕在で、商品もインドの家庭に浸透しています。
インド株に投資できる投資信託
「個別株はハードルが高い」という人におすすめなのが、インド株に投資できる投資信託やETFです。
まずは投資信託から……と言いたいところですが、インド株の投資信託は費用が高めのものが多いため、手が出しやすいもののみ紹介します。
※ここで紹介する投資信託はすべてSBI証券で扱っています。
iTrustインド株式
- 委託会社名:ピクテ・ジャパン
- ベンチマーク:なし
- 為替ヘッジ:なし
- 経費率:1.59%(※運用報告書より)
- 信託財産留保額:なし
中長期的な成長が期待できるインド株式に投資する2018年設立のアクティブファンドです。
為替の影響もあって設立からのリターンはプラス44.5%とやや物足りませんが、100円からの少額でインドに投資するなら、この投資信託が第一候補になります。
参考:ピクテ・ジャパン株式会社「iTrustインド株式」
イーストスプリング・インド・コア株式ファン
- 委託会社名:イーストスプリング・インベストメンツ
- ベンチマーク:なし
- 為替ヘッジ:なし
- 信託報酬:0.9905%程度(税込)
- 信託財産留保額:0.3%
インドの消費・インフラ関連株式に投資するアクティブファンドです。信託報酬はインドの投資信託のなかでは最安。インドの内需成長に期待している場合はこの投資信託が選択肢の1つになるでしょう。
ひとつ気になるのが、設立が2022年7月末とまだ新しい投資信託である点です。
投資信託は一度決算を挟まないと隠れコストが見えません。本格的な投資検討は、運用報告書が出てからをおすすめします。
参考:イーストスプリング・インベストメンツ株式会社「イーストスプリング・インド・コア株式ファンド」
eMAXIS Slim新興国株式インデックス
- 委託会社名:三菱UFJ国際投信
- ベンチマーク:MSCIエマージング・マーケット・インデックス
- 為替ヘッジ:なし
- 経費率:0.30%(※運用報告書より)
- 信託財産留保額:なし
インド株の投資信託ではありませんが、Slim新興国も9.77%がインド株で構成されています(2022年4月時点)。
インド株だけのファンドと比較すると抜群に低コスト。コスト重視で考えたい場合は、選択肢の1つになるでしょう。
またベンチマークが時価総額加重平均型の指数のため、今後インドが構成国のなかで存在感を増せば、組み換えで自動的に比率も上がります。
参考:三菱UFJ国際投信「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」
インド株関連の国内ETF・海外ETF
コストを考えるなら、投資信託よりETFがおすすめです。国内・海外ETFをあわせて紹介します。
※すべてSBI証券で売買できます。
NF・インド株ETF(1678)
- 銘柄名:NEXT FUNDS インド株式指数・Nifty50連動型上場投信
- ベンチマーク:Nifty50指数(円換算)
- 株価:255.6円(売買単位100口)
- 取引所:東京証券取引所
- 利回り:0%
- 信託報酬率:1.045%
- 信託財産留保額:0.5%以内
- 為替ヘッジ:なし
ベンチマークのNifty50指数とは、インドのナショナル証券取引所に上場している銘柄のうち、時価総額などを基準に選出された50銘柄を時価総額加重平均で取り入れた指数です。つまり、インドを代表する株価指数と言えます。
値動きはiTrustインド株式と似ていますが、コストは1678が有利です。100株単位での売買になりますが、日本円で運用したい&投資額が大きい方はこちらをおすすめします。
参考:野村アセットマネジメント「NF・インド株ETF(1678)」
EPI
- 銘柄名:ウィズダムツリー インド株収益ファンド
- ベンチマーク:なし
- 株価:32.0ドル(売買単位1口)
- 取引所:米国NYSE Arca
- 利回り:6.06 %
- 経費率:0.84%
- 為替ヘッジ:なし
インドの証券取引所に上場しているルピー建て銘柄について、利益額の大きさで比率を決めて投資しているETFです。
収益重視で独自に銘柄選定しているのに経費率は安めです。2023年2月時点で、構成銘柄数は416銘柄、うち58%が素材・エネルギー・金融株で構成されています。
なお、現在の配当利回りは高いですが、年によるばらつきが大きいので、利回りだけで買うのはあまりおすすめしません。
参考:WisdomTree「EPI」
GLIN
- 銘柄名:ヴァンエック インディア グロース ETF
- ベンチマーク:なし
- 株価:32.77ドル(売買単位1口)
- 取引所:米国NYSE Arca
- 利回り:1.7 %
- 経費率:0.87 %
- 為替ヘッジ:なし
インドの証券取引所または米国の取引所に上場しているインド銘柄のうち、成長性と健全性の高い80銘柄に投資するETFです。EPI同様に独自に銘柄選定をしています。
素材、情報テクノロジー、金融株の比率が高め。ただパフォーマンスはEPIにおおきく劣後しています。
イマイチぱっとしない印象のETFですが、EPIとは上位が4銘柄しか被っていないため、インドETFの1つとして投資するならありかも知れません。
参考:VanEck「GLIN」
iS SP BSE インド(02836)
- 銘柄名:iシェアーズ S&P BSEセンセックス・インディア・インデックスETF
- ベンチマーク:S&P BSE SENSEX
- 株価:33.36香港ドル(売買単位1口)
- 取引所:香港証券取引所
- 利回り:0 %
- 経費率:0.64 %
- 為替ヘッジ:なし
ベンチマークのSENSEXは、インドのボンベイ証券に上場している銘柄のうち、流動性などから選出した主要30銘柄で構成される指数です。構成銘柄は、2023年2月時点では金融株で41%が占められています。
長期の値動きは上昇傾向。EPI同様に、うまくトレンドに乗れている印象です。
ただ香港ドルでの取引になるため、購入手数料は高めです。
参考:BlackRock「iシェアーズ・コア S&P BSE SENSEX インディアETF」
インドへの投資はカントリーリスクに注意
インドのような勢いのある新興国に投資する際、避けては通れないのがカントリーリスクです。近年のロシアや中国のように、インドも政治や経済が予想できない方向へ動くリスクがあります。
想定外のルピー安や暴落が発生する可能性まで考慮して投資すべき、と言えるでしょう。
まとめ
人口ボーナス期に入ったインドは、高い成長が見込まれる魅力的な市場です。
ただインドの個別株は情報取得が難しいため、日本のインド関連銘柄、投資信託、ETFを使っての投資がおすすめ。とくに米国ETFのEPIは構成銘柄数が多く、多くのインド株に分散投資できます。
ただし、インドは新興国でもあるため、カントリーリスクには注意が必要です。主力銘柄としてインド株を保有するよりは、スパイス的にポートフォリオの一角に入れると良いかも知れません。
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