バイオマス発電関連のおすすめ銘柄を紹介!再生可能エネルギーのダークホース

バイオマス発電 金融

バイオマス発電は生物資源を使った再生可能エネルギーの1つ。

矢野経済研究所の推計では2020年度の国内バイオマスエネルギー市場規模は6,707億円。FIT制度導入後から事業者が増加しているバイオマス発電が牽引役となり、2030年には13,219億円に市場規模が成長すると考えられています。

そこでこの記事では、バイオマス発電の概要と今後の見通し、そしてバイオマス発電関連の銘柄について紹介します。

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バイオマス発電とは?

まずはバイオマス発電について簡単に解説します。

再生可能エネルギー(クリーンエネルギー)の1つ

バイオマスとは、動植物などの生物資源のうち、石油や石炭といった化石燃料を除いたものを指します。

  • 木くず
  • 間伐材
  • 農業・畜産・漁業の廃棄物
  • 食品加工廃棄物
  • し尿・家畜排泄物 など

バイオマス発電は、上記のような生物資源を燃焼したりガス化したりして発電する、再生可能エネルギー(クリーンエネルギー)の1つです。

ここで「燃焼させてるのに、再生可能エネルギーなの?」と疑問に感じますよね。

  • 植物は光合成によりCO2を吸収するので、燃焼させてもトータルのCO2排出量はゼロに近い
  • バイオマス発電に使用する生物資源は、生命活動の循環によって再生される

燃焼させても大気中の炭素を増やさず、資源も枯渇しない点から、再生可能エネルギーに分類されます。

なお再生可能エネルギー全般について、次の記事で詳しく紹介しています。
関連記事:「国策!日本のクリーンエネルギー関連銘柄を紹介!おすすめの投資信託やETFも

(参考:資源エネルギー庁「バイオマス発電」)

バイオマス発電は3種類に分けられる

バイオマス発電は、その発電方法によって次の3種類に分けられます。

  • 直接燃焼系
  • 熱分解ガス化系
  • 生物化学的ガス化系

直接燃焼系は、間伐材などの燃料を直接燃やしてタービンを回す方式です。

熱分解・生物化学的ガス化は、加熱や発酵によって資源からガスを発生させ、ガスタービンを回します。

再生可能エネルギーでありながら、太陽光や風力発電のように天候に左右されず、安定した電力供給ができる点がバイオマス発電のメリットです。

バイオマス発電関連株の見通し

資源エネルギー庁が2021年11月に発表したエネルギー需給実績(速報)によると、2020年度の発電電力量は10,013億kWh。そのうちバイオマス発電量は355億kWhであり、再生可能エネルギーのなかでは太陽光(668億kWh)、水力(665億kWh)に次ぐ発電量です。

また、政府は2030年の電源構成においてバイオマス発電を全体の5%程度(470億kWh)と設定。間伐材などを燃料とした木質系と、食品廃棄物などを燃料とするメタン発酵ガス系の導入にとくに力を入れています。

今後も政府の後押しで成長が見込まれる業界といえるでしょう。

とはいえ課題も少なくありません。

というのも、バイオマス発電は資源の収集や運搬、管理などでコスト高になりがち。コスト低減には発電所の大型化が有効ですが、そうなると国内資源だけでは安定稼働が難しくなり、海外から燃料を輸入して足す必要がでてきます。

輸送にかかる燃料まで考えると本当に再生可能エネルギーと呼べるのか、その構造に批判の声も上がっています。

バイオマスエネルギーの市場が成長を続けるなかで、バイオマス発電がコスト問題をどう解決していくのかがポイントになりそうです。

(参考:経済産業省「2030年度におけるエネルギー需給の見通し(関連資料)」)
(参考:経済産業省「国産バイオマス発電の導入見通し」)

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バイオマス発電関連の銘柄一覧

コード 企業名 内容
1911 住友林業 木質バイオマス発電事業を展開
2151 タケエイ バイオマス発電、廃棄物の再資源化を手がける
2931 ユーグレナ ミドリムシからバイオ燃料
5019 出光興産 バイオマス発電事業を展開
5020 ENEOS HD 子会社がパーム椰子殻のバイオマス発電を手がける
5074 テスHD 佐賀のバイオマス発電所を小会社化
6013 タクマ バイオマス発電含めたプラント建設
6330 東洋エンジニアリング バイオマス発電所の建設
9514 エフオン 木質バイオマス発電事業者
9517 イーレックス バイオマス発電事業者
9519 レノバ バイオマス発電含めた再エネ発電を手がける

ここからは、上記のなかでとくに注目できる銘柄を紹介します。なお情報はIRBankおよびSBI証券のサイトから取得しました。(2022年2月時点)

イーレックス(9517):複数のバイオマス発電所を運転

  • 市場:東証1部(電気・ガス業)
  • 配当利回り:1.19%(3月配当)
  • PER/PBR:15.29倍/2.05倍

国内で5基のバイオマス発電所を所有し、2025年には香川でさらに1基の稼働を予定している国内トップクラスのバイオマス発電事業者。韓国・サムスン物産へのバイオマス燃料提供も決まったとのこと。

バイオマス発電関連株といえば筆頭で上がってくる銘柄です。

エフオン(9514):木質バイオマス発電

  • 市場:東証1部(電気・ガス業)
  • 配当利回り:1.48%(6月配当)
  • PER/PBR:11.04倍/0.68倍

山林事業を手がけており、そこで発生する製材不適合の木材を燃料に使用した木質バイオマス発電に取り組んでいる会社。国内に4基の木質バイオマス発電所を所有し、2022年にはもう1基稼働予定です。

FIT制度での売電単価が高い未利用材を含め、自社で燃料調達ができる点が強み。

東洋エンジニアリング(6330):バイオマス発電所建設

  • 市場:東証1部(建設業)
  • 配当利回り:0%
  • PER/PBR:16.97倍/0.84倍

エンジニアリング大手。国内のバイオマス発電所の建設を手がけており、これまで10件の実績があります。手がけるプラントの規模は50〜75MWと国内最大級。

また同社はメガソーラー発電所の建設も請け負っており、太陽発電関連株でもあります。

ユーグレナ(2931):ミドリムシからバイオ燃料

  • 市場:東証1部(食料品)
  • 配当利回り:0%
  • PER/PBR:ー倍/4.31倍

微細藻ミドリムシを活用したヘルスケア商品を販売するユーグレナ。近年はミドリムシを使ったバイオ燃料に意欲的です。

赤字続きですし、バイオマス発電銘柄としても異質ですが、オンリーワンなバイオマス発電の燃料を手がけている銘柄なので紹介しておきます。

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まとめ

廃棄物を再利用でき、また安定した電力供給が可能なバイオマス発電。コスト高になりやすい点は課題ですが、木質バイオマス発電は林業や山村の活性化につながるなど、地域への波及効果が期待できる発電方法です。

バイオマス発電を含むバイオエネルギーは成長が見込まれる市場です。今後の展開が楽しみなテーマといえるでしょう。

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