台風やゲリラ豪雨の季節になると注目が集まる『防災銘柄』。
そのなかでも、気象情報関連株の筆頭はウェザーニューズ(4825)でしょう。
ウェザーニューズは、世界最大級の民間気象情報会社。天気予報アプリのイメージが強いですが、実はグローバルニッチな優良企業です。
この記事では、ウェザーニューズ(4825)の事業内容、業績、株主優待などを詳しく解説します。投資を検討されている方はぜひ参考にしてください。
ウェザーニューズ(4825)の会社概要
企業名 | 株式会社ウェザーニューズ |
---|---|
証券コード | 4825(東証1部) |
設立年 | 1986年6月 |
本社所在地 | 千葉県千葉市 |
事業内容 | 気象情報を中心としたコンテンツ提供サービス |
配当月 | 5月/11月 |
特徴 |
|
民間の気象情報会社としては世界トップ。あらゆる気象情報を扱う最大手です。前身の海洋気象専門会社の時代まで含めると、50年以上の長い歴史を持っています。
セグメントはコンテンツ提供のみ。法人向けのBtoB事業と個人向けのBtoS事業の2つにわかれます。なおBtoSとは「Business to Society」の略です。天気予報のような、社会を経由した個人向けサービス・商品を指します。
- BtoB事業:航海気象・交通気象・陸上気象・環境気象
- BtoS事業:放送気象・モバイル/インターネット気象
船舶・鉄道・旅客業界などへの天候情報の提供から、エネルギー・小売向けの需要予測、放送局への天気予報コンテンツ制作支援と、幅広くサービスを展開しています。
なおウェザーニューズの売上は、半分以上がBtoB事業です。海外売上高は、BtoB事業で約40%、BtoS事業で約8%。天気予報会社としての知名度は、まだ日本国内限定ですね。
これから先も気象情報の需要はなくなりませんし、競合が出てこない限りは安泰といった印象です。
台風予報でウェザーニューズ(4825)の株価はなぜ上がる?
ウェザーニューズといえば、台風予報で株価が上がりやすい防災銘柄としても有名です。
なぜ台風が近づくと株価が反応するかというと、次の2つがポイント。
「台風の進路はどうなっているんだろう?」「帰りの時間帯にゲリラ豪雨がこないかな」など、台風シーズンは特によく天気予報を見ますよね。
つまり、個人の防災意識が高まるとウェザーニューズの売上も上がる、という連想ゲームになるわけです。実際、ウェザーニューズの決算情報をみると個人向けのBtoS事業が順調に伸びています。
とはいえ、思惑買いだけで値幅が取れる銘柄かというと、時価総額が大きいので難しいように見えます。
例えば、同じく防災銘柄の萩原工業(7856)は時価総額210億円、イトーヨーギョー(5287)は32億円です。対してウェザーニューズは619億円(2021年3月時点)。
イトーヨーギョーのような軽い値動きは期待しないほうが無難です。
また現在の株価は成長期待が先行しています。ボックス相場を上抜けてからはPER36.4倍、PBR4.25倍とやや過熱気味。
投資判断については、今後の気象データ市場の展望をどう見るかが鍵となりそうです。
ウェザーニューズ(4825)の銘柄分析
ウェザーニューズの業績をもっと詳しく分析してみます。ここからの数字はウェザーニューズのIR情報およびIRbankのものを参考にしました。
売上高と純利益
ウェザーニューズの売上高はきれいな右肩上がりです。
直近の決算短信(2020年2Q)で内訳を見ると、
- 個人向けのモバイル/インターネットサービスが前期比で+19.1%
- BtoB事業は全体で-2.7%減収
感染症の流行で旅客業界などが打撃をうけた影響が、BtoB事業の売上にも表れています。
それでもBtoS事業とトータルでは前期比プラス。グローバルニッチな事業の強みが伺えます。
対して、純利益の方は凹凸が目立ちます。
特に2016年から2018年にかけて連続減益となっていますね。減益の理由は、スタッフの積極採用、広告投資、新サービスの開発費などの先行投資が影響したとのこと(有価証券報告書より)。
その後の純利益はV字回復しているため、今後に期待です。
財務状況
財務のほうも確認します。
- 自己資本比率(資産に対する自己資本の割合):85.1%(2020年5月)
- 流動比率(流動資産/流動負債):515%(2020年5月)
- 有利子負債比率(有利子負債に対する自己資本の比率):0%
今後の投資に備えてか、現金は豊富に持っています。さらに有利子負債(借金)なし!
財務安定性が非常に高いと言えます。
キャッシュフロー
凹凸はあるものの、営業キャッシュフローは毎年プラスを維持しています。
営業キャッシュフロー・マージン(売上高のうち、現金で残せる割合)は14.87%(2020年5月)。
現金残高の積み上がり方も順調で、2020年5月時点で84億3362万円となっています。
キャッシュフローからみても、きちんと稼いでいる優良企業と言えるでしょう。
配当利回りと配当への姿勢
ウェザーニューズの配当と株主還元の姿勢をみてみます。
- 中間50円+期末50円=合計100円
- 利回りは1.78%(2021年3月時点)
- 配当性向64.5%(予定)
ここ数年は100円配当で安定しています。
利回りで見ると、株価が高騰した2021年3月現在は1.78%とやや低め。しかし、配当性向が50%を超えているので増配は厳しい印象です。
元から高配当株ではありませんし、成長に応じて無理なく増配してくれたら良し、といった位置づけの銘柄ですね。
株主優待
ウェザーニューズには優待があります(参考)。
- スマートフォンアプリ『ウェザーニュース』が無料
- ウェザーニュースサイトの有料コンテンツが無料
ウェザーニュースは月額330円(税込)、1年間で3,960円分の優待が受け取れます。100株の場合、配当と株主優待を合わせた利回りは2.4%ですね。
雨雲アラームなどのサービスが無料になるので、ゲリラ豪雨に悩まされる夏場やレジャー好きの方には嬉しい優待です。
優待条件は以下の通りです。
保有株式数 | 優待 |
---|---|
100株~ | 1名分 |
50,000株~ | 5名分 |
100,000株~ | 10名分 |
ちなみに、ウェザーニュースのファミリーパックは月額480円(税込)で最大5アカウントまで招待できます。優待目的で5万株以上を持つ意味はなさそうです。
ウェザーニューズ(4825)まとめ
ウェザーニューズ(4825)の銘柄分析結果をまとめます。
- 世界最大級の民間気象情報会社
- コンテンツ提供の単一セグメント
- 法人向けのBtoB事業(航海・交通・陸上・環境)と個人向けのBtoS事業(放送気象・モバイル/インターネット気象)の2本柱
- ここ数年は個人向けのモバイル/インターネットサービスが好調
- 安定した業績だが、やや景気に敏感
- 配当利回り1.78%。優待利回りは2.4%(2021年3月現在)
- 株主優待は、気象情報アプリ『ウェザーニュース』の無料利用など
ウェザーニューズは、台風や災害情報のニーズに応える防災銘柄の1つでもあります。台風が近づくと、天気予報を求めて有料会員数が増加し、またサイト閲覧からの広告収入が期待できるからです。
しかし事業内容をよくみていくと「気象予測による安全な航海のサポート」「エネルギー需要予測からの燃料費の節約」など、提供コンテンツには防災以上の価値があります。
法人事業が景気に左右される点には注意が必要ですが、押し目買いしたくなる優良企業です!
コメント